20代後半で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された筆者の不妊治療記録です。今回は「人工授精」についてまとめました。妊活を検討されている方や同じ体質の方、現在不妊治療中の方の参考にしていただけるとうれしいです。
<この記事でわかること>
・20代後半夫婦の不妊治療記録
・人工授精とは
・人工授精の進み方
・筆者が感じたメリット・デメリット
筆者のこれまでと現状

筆者のこれまでと現状は以下の通り。
<筆者のこれまでと現状>
・20代後半夫婦(同い年)
・夫:異常なし、妻:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
・自己タイミング×6
・タイミング法×4
・人工授精×5
・体外授精×1
今回は流れがわかりやすいよう、「生理3日目→D3」と表記しています。D3=DAY3の略です。
人工授精(AHI)とは?
人工授精(AHI)とは、男性の精子を直接女性の子宮内に注入する治療法です。自然妊娠(自己タイミング)やタイミング法と比べて、精子が卵子にたどり着くまでの距離を省けるのが特徴。
一般的に自己タイミング→タイミング法→人工授精の流れで進めることが多いです。
人工授精の妊娠確率は1回あたり10%ほど。何回か回数を重ねることで確立は上がるものの、そこまで高くなはいです。そのため、4〜6回行ってみて妊娠が成立しない場合は体外受精へのステップアップを検討するのがおすすめ。
※人工授精を保険適用で行う場合、保険適用の回数に制限があります。詳しくは以下でご確認ください。

引用:こども家庭庁 不妊治療に関する取組
人工授精の大まかな流れ

人工授精の大まかな流れは以下の通り。1. 2は前日までの実施で、3以降が当日実施事項となります。
1. 検査:採血やエコーで身体検査やホルモン検査などを実施
2. 排卵誘発:排卵を促す薬(内服もしくは注射)を使用。排卵日の特定
3. 精子採取:男性は、排卵日の前日に精子を採取(遮光・温度管理が必要)
4. 精子持参:自宅で採取した精子を病院に持参
5. 精子処理:採取した精子を洗浄、精子を選別
6. 注入:排卵日に、カテーテルを用いて精子を子宮内に注入
精子採取は院内採精と自宅採精があります。クリニックによってどちらが実施できるかが異なるので、必ず確認しましょう。
人工授精①
<流れ>
・採血、卵胞チェック
・生理5日目〜内服薬(フェマーラ)開始
・採血、卵胞チェック
・タイミング実施※
・AIH当日に自宅採精、持参
・排卵直前にAIH実施
生理3日目(D3)に採血、エコーで卵胞をチェックし内服薬のフェマーラを処方してもらいました。
2週間後(D16)に採血と卵胞チェックを実施。「ゆっくりではあるが育っている」とのことで、その2日後(D18)にAIHの予約をしました。
当日は自宅で採精し病院についてすぐ検体を提出。精子洗浄・濃縮するのに少し時間がかかるので院内で待機し、1時間半後にAIHをおこないました。
最初はかなり怖かったのですが、痛みは軽度の生理痛ほどでチューブが挿入されている違和感以外は特に感じずあっさり終わった印象でした。
AIH後は少し出血があるものの痛みは特になし。生理がきて2周期目に入りました。
※病院によってはAIH前のタイミング指導がない場合もあります。
人工授精②
<流れ>
・採血、卵胞チェック
・生理5日目〜内服薬(フェマーラ)開始
・採血、卵胞チェック
・内服薬(フェマーラ)追加
・AIH当日に自宅採精、持参
・排卵直前にAIH実施
1周期目と流れはほとんど同じ。異なる点としては追加でフェマーラを処方されたことです。2回目(D16)の採血、卵胞チェックで卵の育ちが悪かったので、5錠フェマーラを追加されました。
3回目(D20)の採血、卵胞チェックで育ちを確認。その3日後(D23)にAIHを実施しました。
D41に生理がきてリセット。3周期目に入りました。
人工授精③
<流れ>
・採血、卵胞チェック
・生理5日目〜内服薬(フェマーラ)開始
・採血、卵胞チェック
・内服薬(フェマーラ)追加
・AIH当日に自宅採精、持参
・排卵直前にAIH実施
2周期目と流れはほとんど同じで、1回の内服で育たなかったため追加でフェマーラを5錠処方。
3回目(D22)の採血、卵胞チェックで育ちを確認。その2日後(D24)にAIHを実施しました。
当初は3回目で無理ならステップアップを…と考えていましたが、先生に「もう少しAIH続けてもいいと思うと」言われ、とりあえず4回目も受けようと決めました。
人工授精④
<流れ>
・採血、卵胞チェック
・生理5日目〜内服薬(フェマーラ)開始
・採血、卵胞チェック
・AIH当日に自宅採精、持参
・排卵直前にAIH実施
今回は採血、卵胞チェックの結果ゆっくりだけど育っているとのことで、誘発剤を使わずに後日また卵胞チェックに。
3回目(D18)の採血、卵胞チェックで育ちを確認、その3日後(D21)に4回目のAIHを実施しました。
姉がAIH4回目で妊娠できたことから私も4回目までには…!という思いが強かったのですが叶わず。
夫と相談して5回目でAIHを終わりにすると決めました。
人工授精⑤
<流れ>
・採血、卵胞チェック
・生理5日目〜内服薬(フェマーラ)開始
・採血、卵胞チェック
・内服薬(フェマーラ)追加
・AIH実施不可、リセット
5回目では内服を追加しても卵が育たず、強制リセットに。中容量ピルのプラノバールでリセットを起こし、体外の準備を始めました。
卵が育っても育たなくても保険の1回に含まれてしまうのが苦しかったです。タイミング法と同様に卵が育つか、排卵しそうか(卵が多すぎないこと)が、PCOSの場合には重要だと感じました。
助成金や保険を活用する

不妊治療は治療が進めば進むほど高額になります。各自治体の助成金や保険や医療制度を上手に活用しましょう。
例えば東京都では不妊検査・一般不妊治療に対して、上限5万円・1回限りなどといった助成金が用意されています。
そのほか民間の医療保険でも人工授精を手術と捉え、助成金がもらえる可能性がありますよ。
詳しくは各地方自治体のHPやご契約中の保険をご確認ください。
人工授精のメリット・デメリット

実際に人工授精をおこなってみて感じたメリット・デメリットをまとめてみました。
<メリット>
・より自然妊娠に近い方法
・タイミングからのハードルは低い
・タイミングを取るというプレッシャーがない
<デメリット>
・時と場合によっては腹痛・出血がある
・検体の状況によっては人工授精ができないことも
人工授精は名前こそ物々しいですが、実際の手術自体は数分で終わります。そのため筆者はズルズルとやってしまいがちでした。スピード感を重視したい方は、早めに体外に移るのがおすすめです。
また、採取した検体に精子が少ない場合や状態が悪い場合には人工授精を実施できないこともあります。パートナーの環境やストレスなども影響するので、一人で抱え込まずによくパートナーと話し合って取り組みましょう。
私の姉(30代半ば)も私と同じPCOSでした。姉はAIH4回目で妊娠できたので、PCOSの方でもどうか希望を持って取り組んでみてください!
まとめ
人工授精では検体の状態も知れるので、ストレスや運動率低下のもとになるような行動を避けたりサプリ(亜鉛)を飲んだりしていました。
筆者はタイミング法後のお休み期間から体外受精を終えるまで、卵子の質向上と排卵障害の改善を期待して「イノシトール」のサプリを内服していました。
諸説ありますが、筆者自身は服用中に生理周期が短くなったのでこちらもチェックしてみてください。
タイミング法からステップアップを考えている方や、自己タイミング法からいきなり体外へ移るのが不安な方は、人工授精を検討してみてください。
下の記事ではタイミング法について記録しています。あわせてごらんください。